退職金規程とは
退職金規程とは
退職金規程とは、従業員に退職金を支給する際の指針を定めるものです。
労働基準法には退職金に関する規程はなく、退職金の支給は会社の義務ではありません。
ですから、就業規則で定めがなければ、会社は退職金を支払わなくても違法にはなりません。
退職金規程の作成は義務ではありませんが、退職金規定があれば従業員の福利厚生となり、勤務意欲向上、離職を防ぎやすくなることや、人材を集めやすくなるなどのメリットがあり、従業員のことを大切にしている会社といえます。
退職金規程の必要性
退職金規程は、一度定めると就業規則の一種なので法的な拘束力があります。
会社全体のやる気が高まる
退職金規程があることで、従業員に老後資金に対する安心感を与えることができ、勤労意欲向上につながり生産性が高まります。
離職を防ぎやすくなる
退職金規程があると、長く働いた分だけ退職金が多くなり、得になるので離職を防ぎやすくなります。
優秀な人材を集めやすくなる
退職金制度は労働者が重視する労働条件の一つとなるため、求人への関心も大きくなり、人材を確保しやすくなります。
従業員側とのトラブルを防ぐ
退職金の支給基準や、手続等を明確にしておくことは、従業員とのトラブル防止に役立ちます。
例えば、退職金の金額・勤続年数の計算方法、懲戒解雇等の退職理由による減額規定等を定めておく必要があるでしょう。
退職金規程で定めるべき事項
法律上記載すべき内容は、以下の通りになります。
退職手当の定めが適用される労働者の範囲
退職金規程の対象となる従業員の範囲です。
- 正社員のみか、非正社員、パート・アルバイトの方を含めるか
- 支給最低の勤続年数を定めるか等
正社員以外の非正社員や、勤続年数の短い従業員を適用除外とする場合は、トラブルを回避するためにも、退職金制度が適用される従業員について、雇用形態や勤続年数等、具体的に明記しておく必要があります。
退職手当の決定、計算及び支払いの方
退職金の金額は、死亡による退職や業務上の事由による疾病退職や、定年による退職、自己都合による退職等、理由によって増減されるのが一般的です。
勤続年数の計算方法については、産前産後休業や、育児介護休業などの期間を勤続年数に含めるか否か等、具体的な記載が必要です。また、非正社員から正社員に転換した従業員についての対応や計算方法も記載しておくと良いでしょう。
退職手当の支払いの時期に関する事項
退職する月に支払うのか、それとも退職から一定期間経過後に支払うのかということも、定めておく必要があります。特段の記載がなければ退職後7日以内に支給、期日の記載があれば記載通りに支給しなければなりません。
まとめ
退職金規程を作成することは、従業員の老後の安心を確保することにつながります。また、勤労意欲を向上させたり、人材確保に有利となります。そのため、退職金制度を誰もが分かるように明示しておく必要があります。
退職金規程を定めた場合、法的には就業規則の一部と扱われるため、労働基準監督署への届出が義務付けられています。
退職金規程を作成すると、退職金の支給が企業の義務となるため、経営状態が悪化したから支払わない、というわけにはいきません。ですから、確実に支給できる内容に整備する必要があります。